大の字で高いびきをかいて寝ている人ってとても気持ち良さそうですよね。
高いびき=豪傑=将来大物なんてイメージも昔からありますが、
実は大違い! いびきは健康の大敵! 極端な言い方をすると生命の危機でもあるんです!
また、端から見ても、
「うるさい・・・」「眠れない・・・」など、とってもうるさい迷惑な人になってしまいます。
きっと当人も気にしているはずです。
でも気にしないでください!
いびきは改善できるし、診療して原因がわかれば治癒もできるかもしれません。
ここでご案内するのは、そんないびきのお話しです。
思い当たる方はぜひ最後までご覧ください。
基本的にいびきは仰向けで寝た時に起こります。
睡眠によって緊張の緩んだ軟口蓋や舌根が下方に垂れると、呼吸の通り道である上気道が狭まります。下方に垂れるのは重力も影響しています。
この狭くなった上気道を空気が通る時に起こる振動がいびきです。
いびきが習慣化している方は2000万人以上!
そのうちの200~300万人の方が睡眠時無呼吸症候群(SAS)だと言われています。
睡眠中に何十回も呼吸停止が起きている方は大勢いるのです。
1990年に発表された睡眠障害国際分類(ICSD)では、睡眠時無呼吸症候群は不眠症と同様、睡眠異常という病気として分類されています。
基本的には、
● 一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる
または、
● 睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上起こる
場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
歯科医院で予防できる睡眠時無呼吸症候群は閉塞型になります。
いびきのメカニズムにもありますが、閉塞型は睡眠中に舌根部や軟口蓋が下がって気道を塞ぐことによって起こると考えられる睡眠障害です。
中枢型は脳血管障害などによる呼吸中枢の障害から起こるものなので、医科の分野になります。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群 |
上気道の閉塞によるもので呼吸運動はある。肥満者に多い。 |
中枢型睡眠時無呼吸症候群 |
呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失するもの。 |
混合型睡眠時無呼吸症候群 |
閉塞型と中枢型の混合したもの。 |
2002年8月、乗用車を運転中に対向車線にはみ出し、前方から来た軽乗用車と正面衝突!男女計3人が重軽傷を負いました。 |
2003年2月、JR西日本の山陽新幹線が岡山駅で緊急停止!大事には至りませんでしたが、睡眠時無呼吸症候群が広く知られるきっかけとなりました。 |
2005年6月、岐阜県大垣市の県道で路線バスが対向車線にはみ出し、対向車に接触したはずみで民家に突っ込むという事故が発生! この事故によりバスの乗客5人がけがをしました。 |
2007年8月、静岡県島田市の東海道線で、運転士の居眠りが原因による貨物列車の後退(逆走)事故が発生! 大事には至らなかったが後続の寝台特急列車の前方約220メートルまで迫った。 |
2008年11月、愛知県豊橋市内の国道で大型トレーラーが赤信号を無視して交差点に進入!自転車で横断中の男性がはねられる。 |
いずれの事故も事後の検査で当事者は睡眠時無呼吸症候群と診断されています。
2003年に国土交通省が「睡眠時無呼吸症候群(SAS)問題への対応について」という声明を出していますが、これは「交通事業に係る運転従事者の睡眠障害に起因する事故等の防止対策」であり事業所向けです。
車社会の今日、このような事故は車を運転する私たちにとって他人事ではなく、睡眠時無呼吸症候群をもっと意識する必要があるのではないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に頻繁に呼吸停止が繰り返される睡眠障害です。
昼間の極度な眠気だけでなく、睡眠中は肺が十分に機能できなくなり、血圧が上昇、血液も凝固しやすくなります。
呼吸機能の低下による低酸素血症(動脈血中の酸素が不足した状態)や高炭酸ガス血症(血中に炭酸ガスが蓄積した状態)がさまざまな
合併症を引き起こす危険因子とされ問題になっています。
高血圧(心不全・心筋梗塞) |
脳血管障害(脳卒中) |
糖尿病(高脂血症) |
多血症(頭痛・めまい) |
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞) |
不整脈(めまい・動悸・失神) |
当歯科医院ではマウスピースのような形状のスリープガードを導入しております。
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群やいびきに有効で、睡眠時に装着することでグッスリと安眠できるようになります。
医療機関で睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、健康保険を適用することができます。
スリープガードは上下分離方式が特徴の歯科医院で歯型を採って作るオーダーメードのマウスピースです。
装着時の違和感が少ない
顎関節への負担が少ない
装着中でも話ができる
装着中の咳やくしゃみも安心
装着中に鼻が詰まっても呼吸できる
保険適応が可能
睡眠検査をおこなうこと(終夜睡眠ポリグラフ検査)
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断されること
医師の治療依頼(紹介状)があること
スリープガード以外の睡眠時無呼吸症候群の治療には、就寝時にCPAP(シーパップ)とよばれる鼻マスクをして陽圧空気を持続的に送る装置を使用する方法や、扁桃腺や軟口蓋の肥大した部分を外科的に切除する方法などがありますが、どれも大掛かりな治療になります。
簡便さや携帯の便利さを優先して、スリープスガードをファーストチョイスされる患者様も多数おられます。
単なるいびきでお悩みの場合は自費診療になりますが、どのような環境であっても周囲を気にせず就寝できる喜びはきっと大きいはずです。
いびきの治療に先駆けて、まず単なるいびきなのか? それとも睡眠時無呼吸症候群なのか? を専門の医療機関で検査する必要があります。
乗り物を運転される職業の方はすでに企業で受けていると思います。
検査を受けられる医療機関は当歯科医院でご案内しておりますのでお気軽にご相談ください。
いびきや睡眠時無呼吸症候群の対策としておこなう、歯科医院のスリープガードや医科のCPAPはどちらも対症療法です。
気道が拡がりスムースな鼻呼吸ができるようになりますが、原因をもとから絶つ治療ではありません。
いびきや睡眠時無呼吸症候群を改善するには、本来の原因を解決する必要があります。
対症療法とは
病気の症状として表れている苦痛の緩和や問題の改善を目的としておこなう治療で、病気に直接作用する治療ではありません。
例えば、風邪を引いた時の発熱を抑える薬、鼻水や咳を鎮める薬などは、症状を抑えるために服用する薬で対症療法になります。症状の原因そのものを治す訳ではありません。
単なるいびきやスリープガードが適用される閉塞型睡眠時無呼吸症候群の場合、原因の多くは肥満にあります。閉塞型睡眠時無呼吸症候群と診断される多くの方が医学的な肥満、つまり内臓脂肪型肥満の方々です。
また肥満は高血圧・糖尿病・高脂血症などを重複して発症していることが多く(メタボリック症候群)、さまざまな動脈硬化症(脳梗塞・心筋梗塞・狭心症・脳卒中)に発展する恐れもあります。
睡眠時間が短いと肥満になりやすく、肥満になると睡眠障害になりやすいというデータがあります!
スリープガードでぐっすり快眠
いびきのない安眠で「寝てるのに眠い」をなくしましょう!
疲労の蓄積に注意し、ストレス改善を意識しましょう
生活サイクルの乱れは疲労を蓄積します。体内時計を意識して規則正しい生活を心がけましょう。
肥満(メタボリックシンドローム)の方は特に改善努力を!
食事は暴飲暴食を避け、時間をかけてよく噛むようにしましょう。間食もできるだけ控えましょう。
適度な運動、年齢にあったカロリー消費を意識しましょう。
適度な運動で健康寿命を延ばそう!
健康日本21(厚生労働省)によると、健康維持に最適な運動消費カロリーは1週間に2000Kcal、1日あたりだと約300kcalだそうです。
全身に良い影響をもたらす適度な運動を心がけましょう。
口腔や呼吸に関係する筋機能を鍛えてみよう!
いびきの多くは仰向けに寝た時の舌根や軟口蓋の沈下によるものです。
これは口まわりの筋力の低下も原因となっています。
口腔筋機能療法:MFT(ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY)によって口まわりの筋力を向上することも必要かもしれません。
当歯科医院では口腔筋機能療法の指導もおこなっておりますのでお気軽にお問い合わせください。
WHO(世界保健機関)が2000年に提唱した「健康寿命」は、日常的介護を必要とせず、心身ともに自立して健康な暮らしを送ることのできる期間のことです。
スリープガードの使用をひとつのきっかけとして、いつまでも健康な暮らしを送れるよう、いびき・睡眠時無呼吸症候群の改善に取り組みましょう!