みなさん歯周病をご存知ですか?
お年の方には「リンゴをかじると歯茎から血がでませんか?」というCMが昔ありましたが
歯槽膿漏の方がお馴染みだと思います。
歯槽膿漏は重度の歯周病のことで、歯科学的にはどちらも歯周疾患になります。
歯周病は、実はとても怖い病気です。
それは、なんと!
私たち日本人の約40%が歯周病で歯を失っているからです。また、近年で
は口の中の慢性的な炎症や歯周病の原因菌と、肺炎や心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣に起因する病気や、低体重児出産などとの関連性も問題となっています。
楽しい食生活のために!健康な日々の生活のために! 歯周病をもっと知り、歯からの出血やグラグラがある方はすぐに歯科医院に相談し診てもらいましょう。
もりやま歯科医院では、患者様のお口の健康と全身の健康を考え、歯周病の早期発見・早期治療、歯周病の予防に取り組んでおります。
歯周病の治療は、地道な努力と根気の必要な治療です。患者様と歯科医院との信頼関係がないとなかなか治る病気ではありません。いつまでも健康であるために私たちと一緒に頑張りましょう!
歯周病は、歯周病菌とそれを排除しようと体内で生成される免疫細胞や抗菌物質によって症状が悪化していくと考えられています。
歯肉炎の始まり
お口の中には500種類以上もの細菌がいます。
その中で
歯周病の原因となる細菌は10種類以上にもおよぶと言われています。(以後、歯周病菌と呼びます)
お口の中で歯周病菌はネバネバした物質を分泌します。
お口の衛生環境が悪いと歯周病菌は分泌した物質でコロニー(集合体)を作ります。
皆さんがよくTVなどで耳にする
歯垢またはプラークはコロニーがさらに成長したもので、バイオフィルムともいいます。
このバイオフィルムは歯周病菌にとっては要塞そのもので、表面にはバリアが張られ免疫細胞や抗菌物質をはねかえすほど強力です。
バイオフィルムでは歯周病菌が自らの生存のために酵素を放出します。
この酵素や細菌の構成する成分により歯肉に炎症がおこります。
これが、歯周病の始まりである歯肉炎です。
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■歯肉炎
歯垢や歯石がたまり始め、歯肉(歯ぐき)が赤く腫れています。 歯磨きのときは出血もあります。 まだ、骨は後退していません。
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■初期(の)歯周炎
歯肉の腫れがあります。 外見では歯肉炎と区別できませんが、骨の後退が始まっています。
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■中等度(の)歯周炎
歯肉が赤く腫れ、口臭・出血・不快感があります。 骨が後退し歯もグラグラしてきました。
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■重度(の)歯周炎
歯肉は化膿し、赤く腫れています。 骨もかなり後退し、歯のグラグラも大きくなっています。
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歯周病は、症状により歯肉炎・初期の歯周炎~重度の歯周炎などと区別され治療方法もそれぞれ異なります。
もりやま歯科医院では、軽度の歯周病はもちろん重度の歯周病で歯槽骨が後退してしまっている場合でも、
「なんとか抜かずに歯を残す」ための治療を優先して行っています。
歯周病は歯周組織を清潔で衛生的な状態にする治療です。
完全に治すには治療後の
歯科医院での定期的なケアとご家庭でのセルフケアが大切で、お口の中をいつも清潔に保ち自然治癒力を高める努力が必要です。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
PMTCは歯科医院で行う機器を利用した口腔内の清掃です。
歯磨きなど自宅でのケアでは取り切れない、歯垢や歯石などのバイオフィルムはもちろん、後天的な着色なども清掃・除去できます。
虫歯や歯周病の予防・改善に効果があり、光沢のあるきれいな歯が保て、口臭の予防・改善にも効果があります。
歯周ポケット掻爬(そうは)術
歯周ポケットの深さが3~5mm程度と比較的軽症の歯周病は、歯ぐきに麻酔をして歯周ポケット内の歯石や歯垢を除去します。
肉眼で確認しながら行う手術ではないので技術が必要です。
フラップ手術
歯周ポケットが6ミリ以上と歯周病が進行した場合におこなう手術です。
歯肉(歯ぐき)を切開して歯槽骨から剥離し、露出した歯根のプラークや歯石の除去、歯槽骨の清掃、およびダメージを受けた歯肉などの組織を除去し、歯肉を元の状態に戻します。
組織再生誘導法(GTR法)
重度の歯周病によって後退してしまった歯肉や歯槽骨などの歯周組織を再生・誘導する手術です。
歯肉(歯ぐき)を切開して歯槽骨から剥離し、露出した歯根のプラークや歯石の除去、ダメージを受けた歯肉などの組織の除去、歯槽骨の清掃を行います。その後、特殊な保護膜(メンブレン)を使用して歯根膜・歯槽骨が再生できるよう保護し、歯肉を元の状態に戻します。
保護膜の使用は、歯根膜・歯槽骨・歯肉などの歯周組織は再生に要する時間が異なり、再生の遅い歯根膜・歯槽骨のために十分なスペースを確保しておくためです。
この手術は失われた歯周組織を健康な状態に回復しますが、元(完璧)の状態への再生は難しく、歯を残すための手術です。また、歯周病が広範囲にわたるなど、手術をおこなえない場合もあります。
エムドゲインゲルによる歯肉組織再生法
組織再生誘導法(GTR法)と同様に失われた歯周組織を再生する手術です。
歯肉(歯ぐき)を切開して歯槽骨から剥離し、露出した歯根のプラークや歯石の除去、ダメージを受けた歯肉などの組織を除去、歯槽骨の清掃を行います。その後、ゲル状のエムドゲインを塗布して、歯肉を元に戻します。
この手術は失われた歯周組織を健康な状態に回復しますが、元(完璧)の状態への再生は難しく、歯を残すための手術です。また、前歯など一部の歯の治療に限られます。
根面露出と結合組織移植術
歯周病が原因で歯ぐきが後退し歯根面が露出してしまったのが根面露出です。
根面露出は加齢や不適切な矯正などが原因で起こり、
知覚過敏や虫歯になりやすく、見た目もあまり良いものではありません。
根面露出が大きくなると歯自体の安定性も悪くなり、固いものが噛めなくなることもあります。
露出してしまった歯根は歯みがきなどによるケアが難かしいので、虫歯(歯根面齲蝕)予防のためにも、定期検診によるPMTCをお勧めします。PMTCでは根面が露出してしまった歯のケアついて、歯の磨き方から適切な歯ブラシ選びまで丁寧に指導します。
根面露出の処置として結合組織移植手術も行っています。
結合組織移植手術
根面露出した箇所に口腔内の他の部位から採取した結合組織を移植します。
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歯周病から歯を守るためには正しいお口のケアが大切です。
お口の中を清潔にして歯周病菌が生存しにくい環境作りを心がけましょう。
歯周病は早期発見・早期治療が大切です。重度の歯周病になり痩せてしまった歯槽骨は自然にはもとに戻らないからです。
いつまでも健康な歯でいるために、
歯科医院で定期的に検診を受け、家庭ではケアできない歯周ポケットの清掃(PMTC)やブラッシング指導を受けましょう。
もりやま歯科医院では、 位相差顕微鏡による歯周病検査や問診をおこない、患者さんにあった予防プログラムを作り提供しています。
問診では、生活習慣などをお聞きし歯周病予防のための改善点などをお話しします。
歯科医院での治療は、
歯周病検査・歯磨きチェック・ブラッシング指導・PMTCをおこないます。
必要であれば歯周病外科治療や、もりやま歯科医院が自信を持ってお勧めする特殊な歯周病治療をおこないます。
当歯科医院では、スタッフ一丸となり歯周病予防を通じて、地域の患者様のお口と歯の健康づくりのお手伝いをしています。