お口と体の健康には深い繋がりがあります。
歯を1本失うだけで咬み合わせが悪くなり、身体に悪影響を及ぼすことがあります。
失った部分の歯を補う治療には、
ブリッジや入れ歯・インプラント治療などいくつかの選択肢があります。
ここでは、
天然歯に近い咬み心地から「第二の永久歯」と言われ、治療技術の進展が著しいインプラント治療をご紹介します。
歯を失う原因には様々な要因があります。例えば、むし歯・歯周病(歯槽膿漏)・不意の事故などです。
インプラントは天然歯の代わりに人体親和性の高い(骨と強く結合する性質)チタン製の歯の根(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、その上にセラミックなど天然歯に近い材質の歯(人工歯)を取り付ける治療です。
インプラントの最大の特徴は顎の骨に支持し固定するので、
ブリッジのように両側の健康な歯を削る必要がなく、 入れ歯などと比べてもしっかりとよく噛める(咀嚼機能)ことにあります。
失った歯が1本の場合から、まったく歯がない場合など様々な状態への対応が可能です。
インプラント治療にはさまざまな方法があります。
1回法は1回の手術でおこなうインプラント治療です。骨がインプラントと結合するまで仮の土台が歯肉より外に出た状態で待つことから、細菌感染や余計な力がかかるなど失敗するリスクがあります。
2回法は2回の手術が必要ですが、1回目の手術でインプラントを埋め込み歯肉を閉じて、インプラントとの結合を待つので1回法のようなリスクがありません。
もりやま歯科医院では、より安全で成功率の高い2回法によるインプラント手術を採用しています。
1回目の手術の後、一定の時間をおく必要がありますので、全体に要する期間は6~9カ月程度になります。
治療後は、初年度は2~3カ月に1度、翌年からは4~6カ月に1度、定期的に診療し状態をチェックします。
インプラントは治療後の毎日のケアがとても大切です。日頃のケア次第でインプラントの寿命が変わってくるからです。
私たちは古来より食事を摂るためにお口の機能を使ってきました。
「食物を歯で咬み、粉砕すること」を咀嚼といいます。
この咀嚼機能は、私たち人類は長い時間をかけて進化してきたのですが、その過程の中で体を正常に保つために組み込まれた機能です。
厚生労働省と歯科医師会が進めている「8020運動」は、80歳になっても20本の歯を残そうと国民に呼びかけています。しかし、単に多くの歯を残すだけでなく、高齢になっても何でも食べられる良好な咀嚼機能を維持することが重要なのです。
インプラントは顎の骨にしっかり固定され、自然の歯と同じように噛むことができます。
歯がなくなってもインプラントを利用すれば、咀嚼機能を維持し、体(脳)に良い刺激を与えることができます。高齢者でも噛む力(咀嚼機能)が回復し、何でも食べられるようになり、健康な生活を過している方もおられます。
歯を1本失った場合
|
失った部分にインプラントを1本埋入します。従来は、健全な両隣りの歯を削ってブリッジを用いて治療していましたが、インプラントを用いると健全な歯を傷つけることなく治療を行うことが出来ます。 |
歯を何本か失った場合
|
従来は局部的な入れ歯を用いて治療を行っていましたが、インプラントを何本か用いて治療を行います。入れ歯を固定するための金属のバネによる違和感はもちろんありません。 |
歯をすべて失った場合
|
従来の総入れ歯ではなくインプラントを用いて治療します。この方法なら食物が入れ歯と口腔粘膜の間に挟まったり、入れ歯が合わなくなるようなことはありません。 |
虫歯や歯周病で歯を失ったままにしていると、骨が吸収され薄い顎の骨になってしまいます。
インプラントは顎の骨と結合してこそ噛む力を発揮するので、顎の骨の高さや幅がないと埋め込むことができません。
このような方には、
顎の骨を再生または生成して、顎の骨にできるだけ深く埋め込み、確実に支えとなるようにする必要があります。
顎の骨の再生や生成には、顎の骨の状態やインプラント手術の手法によって様々な方法があります。
骨誘導再生療法(GBR法)
歯槽骨や顎の骨の再生を促す治療方法です。
インプラントでは、埋め込む部分の顎の骨や歯槽骨が十分でない場合におこないます。状況により、骨補填剤(骨生成剤)を使用したり、患者さん自信の骨(自家骨)を採取・移植して、骨の再生を促します。
あらかじめ骨の再生をする場合
骨の吸収が激しくインプラントを埋め込むことができない場合におこないます。
骨の再生するスペースに骨補填剤や自家骨を補填して保護膜で覆い、歯肉を縫合して一定期間おき骨の再生を待ちます。
インプラントを埋め込める骨が十分できてからインプラント手術を行います。
インプラント手術と同時に骨の再生をする場合
歯槽骨の後退により歯肉が痩せ、埋め込んだインプラントが歯肉表面に露出してしまう場合などに行います。
インプラント埋入時に、骨に吸収される成分でできた保護膜でインプラントの露出部分(骨を再生する部分)を覆い、歯肉を縫合します。保護膜は分解され自然になくなります。
ソケットリフト法
上顎へのインプラントで顎の骨幅がたらずインプラントを埋め込むことができない場合におこなう手術です。
上顎の上には左右の鼻の奥に広がる大きな上顎洞という空間があります。骨幅がなくインプラントがこの上顎洞を突き抜けてしまう場合、特殊な器具を使用して上顎洞底部の骨を押し上げながら骨補填剤(骨生成剤)を充填していき骨幅を確保します。
骨が安定するまで一定期間おき、その後インプラント手術を行います。
サイナスリフト法
ソケットリフト法による骨幅の確保が難しい場合に行う手術です。
上顎洞底面のシュナイダー粘膜を骨から剥離し、できた空間に自家骨や骨補填剤(骨生成剤)を充填していき骨幅を確保します。
骨が安定するまで一定期間おき、その後インプラント手術を行います。